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韓国大ヒットも納得!衝撃の実話「モガディシュ 脱出までの14日間」

2021年製作/121分/韓国
監督:リュ・スンワン 主演:キム・ユンソク

BLENDA:4.4 Yahoo!映画:4.2 映画.com:4.0

ライター:S・Y

第42回青龍映画賞で作品賞、監督賞ほか5部門を受賞し、2021年韓国で大ヒットを記録。

北朝鮮の大使役のホ・ジュノがいくつか助演男優賞を受賞しているけれど、個人的には主役のキム・ユンソクが何かしら受賞してもいいんじゃないかと思っている。韓国のスターおじさん俳優といえば断トツ「ソン・ガンホ」1強だと思っていたけれど、見つけちゃった!キム・ユンソク!

そのくらい存在感のある俳優さんです。そしてチョ・インソンも最高!頭が良くて強くて最強の参事官。大使であるキム・ユンソクと参事官であるチョ・インソンの信頼関係と仲間感、同じく北朝鮮の大使と参事官の関係、両方の参事官がそれぞれの大使を絶対的に支える姿がとても良かったです。

メインの4人。韓国(左)と北朝鮮(右)のそれぞれ大使と参事官のペア。

ソウル五輪から2年後の1990年、ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちの脱出を実話ベースで描いた作品。ソウル五輪を成功させた韓国は1990年、国連への加盟を目指してアフリカ諸国でロビー活動を展開。北朝鮮も同じく国連加盟を目指しており、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていく。そんな中、ソマリアの内戦が始まり、大使館も攻撃の対象に。電話回線もつながらず、自国に助けも求められず、市中の移動もままならない状況。

韓国参事官であるチョ・インソンは機転を利かせて、現地の警察に警備の依頼に成功し、なんとか反乱軍から大使館を守ることに成功したが、北朝鮮の大使館は暴徒化した反乱軍に襲撃され、韓国大使館に助けを求めて身を寄せることに。(ここの警備を交渉できるチョ・インソンの頭の良さと勇敢さと行動力がかっこ良すぎ。)

命からがら大使館を出て韓国大使館を目指す北朝鮮一行。こちらの参事官(ク・ギョファン)は疑い深く気性が激しいですがそれも仲間を守るため。仲間が襲われたら全力で助けようとしたり常に先頭に立ち、頼りになります。
撃てるものなら撃ってみろ!チョ・インソンがとにかく強くてかっこいい。

本来なら直接対面で話をすることもありえない関係の北と南の一行が、韓国大使館内で食事を共にするシーン。疑って食事にしばらく手をつけない北側の人たちを見て、韓国大使キム・ユンソクが目の前の北朝鮮大使(ホ・ジュノ)のお椀(皿?)と交換し、先にパクッと一口。毒なんか入っていないよと。それを見て北側の人たちが一斉に食べ物を口にし出す。

なんとかモガディシュを脱出する方法を模索し、それぞれ国交がある近くの大使館、韓国はイタリア、北朝鮮はエジプト大使館へそれぞれ交渉に向かう。そこでイタリア大使館の救難機に乗せてもらえることになるが、北朝鮮は国交がないので断られてしまう。そこで韓国にすでに転向したと嘘をつき、北朝鮮の全員も一緒に乗せてもらうよう交渉成立。

そして、南と北の全員が4台の車に分乗して、命をかけてイタリア大使館へ向かう。

移動中、反乱軍に見つかったら全員命の保証はない。ここからが手に汗握るシーン。

しかし、アフリカの内戦って、本当に怖い。なんていうか、乾いた空と舞う砂埃に、笑顔で人を銃殺する反乱軍の子どもたち。道に転がった死体を避けられず車で轢いてしまう。踊りや歌を歌いながら人を銃殺するシーンと対比される静寂。その緊張感たるや、ちょっとトラウマになりそうなほど怖い。

「ブラックホークダウン」という映画も同じような静寂なシーンがあって、怖すぎて強烈に覚えているのだけど、あれもソマリア内戦の実話。ソマリア、まじでヤバイ、本当に日本に生まれて良かった。

少しでも銃の弾を避けられるように、車の全面に本や砂袋を貼り付けて、いざイタリア大使館へ向かう4台。ここが一番手に汗握るシーンで、もう本当に早く着いてくれと祈ってしまった。

キム・ユンソクが運転する車のフロントガラスに銃口を車内に突っ込んだ状態で政府軍が一人しがみついてきて、大パニックでとにかくアクセルを踏むキム・ユンソクの車に向かって、もう1台を運転していたチョ・インソンが、ブレーキ!ブレーキ!(ブレーキを踏んで急ブレーキをかけて振り落とせ!)と叫ぶ姿が、本当にキレ者で頼れるチョ・インソンがかっこいい。私的にはこのシーンが一番好きでした。

そして、前の3台は次々にイタリア大使館前に到着。車から出てお互いの無事を確認しあっていると、数分遅れて1番最後の北朝鮮参事官ク・ギョファンが運転する車が到着。乗っていた人が車から出始めると、急にクラクションが鳴り響き、チョ・インソンが駆け寄ると、そこには撃たれて絶命したク・ギョファンが。ここも事実なんですって。実際に30代の北朝鮮側の通信技師が心臓を撃たれた状態で1分間強靭な意思で運転を続け、イタリア大使館に到着したところで力尽きたそうです。そのままイタリア大使館内に埋葬されたとのこと。ク・ギョファンはまあ北だから仕方ないんだけど、命を助けてもらう立場のくせに韓国大使館でチョ・インソンとバトったりして、ちょいちょいイラっともしたのですが、それもすべて自国の仲間を守るためで、いつも先頭で自分を犠牲にして使命を果たした人でした。これだけの状況で死者が一人というのも奇跡。

続けてこの後がさらに最大の見せ場。大使館の建物まで白旗を降ってみんなで命がけで走っていくシーン。ここで一切の音声が消え、静寂のシーンに。

この静寂が緊張感を演出。本当やばい。いい演出するなーーっと思った場面です。

そして、、なかなか開けてくれない門の前で、キム・ユンソクとチョ・インソンが両手をあげて韓国大使だ、門を開けてくれ!と叫ぶシーン。撃たれてもなんら不思議のない状況で、いつも先陣を切ってリーダーシップを発揮するキム・ユンソクとそれを守ろうとするチョ・インソンの二人のコンビがとても良かった。

いつも頼りになるチョ・インソンがかっこいい!

そして無事に門が開き、救難機でケニアに到着。

ケニアに降りたら、それぞれ北と南の関係に戻らなければ特に北の人たちの身の安全が危険。そのため機内でお別れ。当然ながら北の人々は南の人に感謝の言葉を告げます。どんなに国同士が問題があっても、人間として命を守ることを優先できた人たちで良かった。これが実話というのはすごいなあ。

そして、韓国の実話ベースの映画って本当に骨太でグッとくる。またいい1本が増えました。

そこまで涙したり感情を揺さぶられるわけではないのですが、それが現実的で、変に盛られていないけど十分に骨太。おすすめ作品です。

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